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管理の合間に背後がのらりくらりしてる所です。
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2024/04/20 (Sat)

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はい、言い訳は?


嘉凪(俗に言う背後):ありましぇん。

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よろしい。ならさっさと続き書きなさい!


嘉凪:へいへいよーっと。
 (小声で)イッチーとイチャコラしてただけなのによく言う…。

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聞こえてるわよ?


嘉凪:なんでもねぇっす!(ダッシュして逃げる)



と言うわけで、続きですが相変らず綾乃とイッチーしか出てません。
しかも今回は…も?また若干イチャコラしてますんで、その辺スルーでヨロ。


 


<※戦闘シーンは割・愛☆>



 伊知郎が氷を纏った剣を薙ぎ払うと、その威力に怯んだ地縛霊が壁の中に消える。
分が悪いと思って一時撤退したのだろう、現に彼の影であった者は地面に伏している。けれどそれも数日経てば、奉納舞で使用した祭器が吸った穢れを食んで蘇ってしまう。

そう、今まで一族の当主達が墓に巣食う嘗ての当主達の成れの果てを放置していた理由がこれだった。

嘉凪の家柄は、確かに直系には能力者が発現しやすい。
けれどそれも一つの世代に多くとも2名。歴代で一番多くても3名がせいぜいだと言われている。ましてや多くてその数なので、1人も発現しなかった時期もあった。
能力者の人数不足、そして戦力の圧倒的な差が、今まで地縛霊達を退けはしたものの殲滅する事が出来ない理由だ。

現在の当主である茂久は、嘉凪最高の当主と言われる人物。けれど、彼は周囲の能力者に恵まれなかったのだ。現在の次期当主が彼の孫の久臣であるのを見れば明確だが、彼の息子は愚か、彼の影である人物も実は能力者ですらない。

けれど 次の代である久臣と綾乃の代は違った。

彼らが在学している学園自体が能力者の集り。つまり長年嘉凪の一族が悩んでいた能力者の数の少なさを、協力者さえ仰げば解決できるのだ。
しかも一族の人間だけでも久臣、綾乃、彩華、貴也の4人。それに加えて、綾乃の伴侶となる婚約の誓いをした伊知郎、最低でも5人はいるのだ。今代ほど能力者に恵まれた世代はないだろう。

「……1人…倒せた……」

 肩で息をする綾乃が、強張らせていた表情を微かに緩める。
祖父の茂久ですら、1人倒せるかと言われていた地縛霊を伊知郎と2人で倒したのだ。しかももう1人は逃しはしたが、それでも相手が逃げるほどの窮地に追い込んだ事実は揺るがない。

その事が嬉しくて、気が緩んでしまって、つい足元の力が抜ける。

「綾乃!」

 急に崩れ落ちそうになった綾乃を視界の端で捕らえた伊知郎が、地面に倒れこむ前に抱き寄せる。だが、抱きかかえられた感覚に、慌てて彼の手から逃げようと胸を押し返した。

「大、丈っ…だかっ…触らない、で…」

 先の戦いで地縛霊と接触したからか、体の中の穢れが暴れるように内側から身を焦がす。まるで皮膚の下を熱された血液が流れているような倦怠感に、息が乱れるばかり。

今の自分は触れるだけで相手に穢れを移してしまう。それ程に自分の体に穢れが満ちていているのだ。久臣に次期当主の座を譲るまでは、毎月やってきて慣れている筈の自分でさえ辛い程の量だというのに、こんなものを伊知郎に移すわけにはいかない。

グイグイと懸命に肩を押し返して離れようとする綾乃を見下ろし、伊知郎は怪訝な顔をして抱き寄せる腕に力をこめた。

「これ以上我が儘を言うならば、俺にも考えがあるが」
「わが、ままじゃないっ…!」

 説明する時間も惜しくて、返事は疎かになる。
一刻も早く離れなければ、今この触れ合っている時間ですら、穢れは徐々に伊知郎に移り始めている。呼吸すら苦しかったのに、少しずつ呼吸が安定しようとし始めているのが、それを示していた。

「伊知郎まで穢れるから、離れ - んっ!」

 最後まで言葉は言葉にならなかった。頬に手を添えられて上を向かされたと思ったら、急に重ねられた唇から温かいものが割って入り込んでくる。普通に触れるだけでも流れ込むこの穢れを、皮膚よりも移りやすい口内から伊知郎は綾乃から奪おうとしているのだ。

その事に気が着いて慌てて肩を押すが、相手は男でこちらは女だ。力押しで勝てるわけがない。しかも穢れで弱っているので、容易く両手は伊知郎の右手一本に封じられてしまう。

離れる事も反撃も許されず、しばらく為すがままに唇を奪われていたのだが、いい加減息苦しくなってきたので、軽く離れてくれと伊知郎の腕から両腕を逃そうと振ってみる。その主張の意図が伝わったらしく、両腕が解放され、唇が離れて新鮮な空気が肺を満たす。

どうやら本当に伊知郎は穢れを半分持って行ってしまったらしく、吸い込む空気が熱くなければ体も軽い。
その事実に辛そうに顔をしかめて恨めしげに顔を見上げれば、こちらとは裏腹に伊知郎は清々しそうに微笑んでさえみせた。

「既にこの身は戦場で死の不浄に染まって生きてきた身だ。今更君が背負う穢れの半分程度、受け入れられない訳がないだろう。
 護ると誓った君を、一人で辛い目に合わせはしない。」

 頬に添えられた手が、言葉と同じく優しく頬を撫でた。その穢れを内に溜めた所為でいつもより微かに熱い。その熱さに鼻の奥がツンと熱くなる。どうしてこうも、この人は自分が欲しい言葉を欲しい時にくれるのだろう。

「…もう、涙でそう。ありがと、伊知郎」

 ここまで来たら、もういっそと思って綾乃はギュッと伊知郎に抱きついた。泣きそうな可愛くない顔を彼に見せたくないのもあったのだが、ただひたすらに彼が愛しいと思ったからだ。

抱きついてきた綾乃の頭をあやす様に撫で、伊知郎は穏やかに微笑む。その体に穢れを溜めているので少々調子は万全ではないが、この程度ならば彼自身が宣言したとおりに戦いにも問題はない。

「どういたしまして。 …立てるか?」

 名残惜しくはあるが、伊知郎が腕の中の綾乃の両肩を手で支えて立たせる。
穢れを半分ほど受け渡したお蔭で、随分と体は軽い。地面に立つ足も先程までとはうって変わってしっかりと地面を踏みしめている。

「うん。伊知郎に穢れを分けたら楽になっちゃったし。…そっちこそ大丈夫?」

 さっきまで眩暈で真っ直ぐに立つことすらままならなかったと言うのに、今は歩くのに支障はない程度。
戦闘も出来るだろうが、万全とは言い難いだろう。けれど、自分は慣れているからこの程度で済んでいるのだ。慣れていない伊知郎はさぞかし辛いのではないかと顔色を伺うが

「なに。 この程度、君一人に背負わせる事に比べれば些細な事だ。さて、相手が調子を取り戻す前に俺達も急ごう」

 …綾乃の心配を他所に、伊知郎は普段どおりだ。気分が悪そうな様子すら見えない。
さすがに祭器を触るのは躊躇われたのか、綾乃が倒れる時に落とした刀の直ぐ傍に立ち、伊知郎が視線で刀を指す。その元気そうな様子を見て綾乃は微笑む。

刀の傍に立つ伊知郎は、虚勢を張ったり無理をしている様子はない。もし無理をする程に穢れに体を苛まれているのであれば、綾乃の体以上に穢れを孕んでいる祭器の刀に寄り付いて表情を変えられない訳がないからだ。

先の戦闘で少々着崩れを起こしていた衣服を整え、落ちていた刀を手にする。そして、その傍らに倒れていた筈の影の御霊が消えている事を確認する。

また自分達に襲い掛かるようになるまでには、この量の穢れであれば一ヶ月はかかるだろうか。どちらにせよ、2月にある奉納舞で久臣が穢れを孕んだ祭器を奉納すれば、元通りに回復…いや、それ以上に強化されるのは目に見えている。けれど、復活しなければ彼らを浄化出来ない。彼らは自分達が傷を負うと逃げてしまって、傷が癒えるまで表に出てこないのだ。
だから今出来る事は1つしかない。今、手に持っている祭器を奉納することしか出来ない。

「…うん。  行こう、伊知郎。」

 祭器を持ち直し、真っ直ぐに奥に続く通路を見据える。
祭器の安置所まではそんなに距離はない。後はこれを奉納するだけ  この奉納に関しては。

奥へと続く道を剣を持ったままの伊知郎が進んでいく。その後姿を見て、綾乃も足を踏み出す。いくら嘉凪の家が他の旧家に比べて外に開けているとは言え、闇があることには変わりない。

自分達が進む先が正にその闇。

そして目の前を歩く伊知郎を、その闇の中へと自分は引きずり込もうとしている。そう考えると自然と足は歩を止めてしまった。

「綾乃?」

 後ろの気配がついて来ないのを不思議に思ったのだろう。振り返った伊知郎が気遣うようにこちらを見ている。

「ううん、何でもない。 ― 行きましょう」

 纏う空気を嘉凪の家の者のものへと変え、歩き出す。
闇に引きずり込む事は避ける事は出来ない。かと言って、彼の目を自分から離す事など更に出来ない。それだけ大切なのだ。

ならば

闇の中に彼を穢さないように、彼を闇に飲み込ませないように光を入れるしかない。その準備は既に出来ている。
何を躊躇う事があるのだろう。そう自分に言い聞かせて、綾乃は仄暗い光が照らす祭壇へと足を進めた。




                     書いた自分が言うのも何やけど、コメントし辛いわぁ、今回。(汗
                     一応功刀にも、イッチーの行動確認してもろたが、「喜んで」の返答やった。
                     さすがや、旦那。(笑
                     
                     さてさて、次回は綾乃が準備してる言う、闇に光を入れる事っす。
                     次回は会話が長いんで台詞メインになりまっす。

 

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