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管理の合間に背後がのらりくらりしてる所です。
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2018/10/19 (Fri)
本日、貴也が引退しました。

お世話になった方々には心より感謝を。

「引退」「する!?」
「エイプリルフールに便乗しての戯れ言でしたら、吹き飛ばしますよ」

ここ数年で俺が知っている幼さを払拭して、終いには背まで抜かれてしまった久臣に、
すっかり丸くなって幸せだけれどその幸せに能力者としての不安を滲ませる綾乃、
そして主が頼りがいが出てきたお蔭ですっかり根性が座ってしまった彩華が
とりどりに驚愕の表情で俺の顔を見る。

「もう手続きは済ませてきました。継承者は久臣です。後はよろしくお願いしますね」
「…それ、爺ちゃんは許可してんのかよ」

不満そうに、でも俺が決めた事に異論はないのは久臣が腑に落ちない顔で告げる。
彼の祖父であり、俺の叔父であり、そして俺の真の主である茂久様の名前を出せば、嘘か本当か、そしてそそれが俺が自身で決めた事か、それとも「誰か」に強いられたことなのかを判別しようとしたらしい。
その言葉に俺はいつもの笑顔のまま答えた。

「許可もなにも、銀誓館に入る時に了承済みですよ。」
「銀誓館に入る時からって、貴也、最初っからあなた ―…!」
「落ち着け、綾乃。 本当にお前は次期当主辞めた途端に冷静さを欠くようになったよな…」
「怒らせてるのは誰よ!」
「綾ねえも落ち着いてくれ。…彩華も武器は仕舞ってくれ」
「…分かりました」
「おや、物騒ですね」

 ケラリと笑って彩華を見れば、カードに仕舞いかけた忍者刀の唾に手をかけたまま、今にも斬りかかりそうな視線で睨まれた。黒燐の素質あるんじゃないかと思ったのは口が裂けても言えない。

「貴也、それはお前の意思なのか?」
「それは当主の命令で?」
「俺のは頼みだ。脅されてると言うなら、その主の名前まで言ってくれ。
 もしそうじゃないなら…その経緯を包み隠さず、全て。」
「…そうですね、継承者に経緯を話さないのは失礼でしょう。では、簡単に触りだけ」

そう俺が返したのを見て、浮かしかけていた腰を綾乃も彩華も再び落として姿勢を正す。
まったく、そんな性分だよな、嘉凪の女も。

「経緯は簡単。俺の力は嘉凪の家の正式ではないけれど直系の力を継ぐもの。
 銀誓館に卒業生から在校生に力を継承するシステムがあるのを知って、当主である久臣に返そうと以前から思っていた。
 だから入学を許してもらえるように茂久様と一族にそう報告して銀誓館に入った。以上だ」
「…貴也は、それでいいのか?」
「忌まわしいと散々罵られた力を手放せたんだ。清々してるが?」
「…そうか。分かった、貴也の力、継承を受理するよ」

俺の言葉に、力を望んで能力者になった久臣が表情を歪ませる。
その表情に心が痛まないワケではないが、俺はそもそも望んでこの力を得たわけではない。だから謝罪の言葉は頭にすら浮かばなかった。

「黒須」

気まずそうに黙り込んでしまった久臣に代わって、まだ射るような視線の彩華が口を開く。

「なんですか、河瀬」
「影の任務はどうするのですか」
「…辞めようかとも思ったのですが、一般人にしか出来ない事もあるでしょう。続けますよ。
ただ、矢面に立つのは頼みましたよ」
「………厄介ごとだけ頼むとは卑怯ですね」
「今更でしょう?」
「そうですね。では、身を粉にして働いてください。骨は拾ってあげます」
「お優しいことで」
「のたれ死なれては環境に悪いですから」

ニコリとも笑わない言葉の切れ味は相変らずで、ふと口元に笑みを刻む。彩華が毒舌になる時は、感情を押し殺そうとする時だ。主の動揺をも共に押し殺そうとしているのだろう。いいコンビになったものだなと、らしくもなく思う。
そして、ふと今までずっと黙っていた綾乃に視線を向ける。
怒っているのか、泣いているのか。次期当主と辞めて以来、感情を表現することを押し殺さなくなった彼女は、ともかく一番厄介だと思って視線を投げたら…意外にも少し拗ねた様子でこちらを見ていただけだった。

「見事な拗ね顔で。可愛くないですよ」
「可愛くなくて結構。 …貴也が継承を決めたのって、私のせい?」
「は?」
「だって、私が当主になれなくなったから…」
「バカを言うのはやめてください。そんな事言ってたら、功刀さんに俺が刺されますよ。
 単に、面倒になっただけです」
「はぁ?」
「あなたの世話をするのが面倒になったのですよ、綾乃」
「は!?」

驚きと怒りが入り交ざった表情を向けられて、ニコリと微笑む。まったく、予想しやすい反応だなと感心すら覚えるのはナゼだろう。

「これからは精々功刀さんに面倒を見てもらいなさい、愚妹」
「…なによ。言われなくてもそうするけど、暇があれば構いに行ってやるんだからね、この愚弟」
「言っておきますけど泣かないでくださいよ。別に死ぬわけでもないんですから。」
「泣 き ま せ ん!」
「どうだか。 …久臣はまだ納得してないですか?」
「や、してないワケじゃないけど…こういう時、俺はどんな言葉をかけていいのか、分からないから…」

そう言って黙り込んでしまった久臣の表情を見て、ああ、まだ高校生になったばかりの少年だったなと改めて実感する。
普段は自分の主として背を正していても、彼はまだこの前中学を卒業したばかりの、自分よりも3つも年下の子供だ。

「別に何も言わなくていいですよ。単に能力を手放しただけで、後は一緒ですから」
「…けど」
「それじゃあ、お疲れ様でした、とだけ言ってください。それくらいはお安いご用でしょう?」
「………お疲れ様、貴也。これからもヨロシクな」

少しばかり辛そうに目を細めて、それでも微笑む久臣の笑顔は見ているこっちが辛くなる。
そんな顔をして微笑む高校1年生なんてそうそういないのにな。

「そうですね。よろしくお願いします。 主 ― ああ、それから言い忘れてました」

 二コリと笑みを返して、ふと言いそびれていた事を思い出すと、周囲を囲んでいた3人が3様の表情を見せる。

「私の能力ですが、茂久様の分も込みなんで。 だから久臣、あなたが今から当主ですよ」




「「「は!?」」」









                            と言うワケで、貴也の引退でした。
                            しかも爺ちゃんの能力入り(と言う設定)。
                            それと同時に綾乃が団長業を引退して、久臣に継承。
                            結果、久臣が受け継ぐものはもの凄く多いです(汗

                            あとは儂が例のSSを仕上げれば、一先ず嘉凪家の事は
                            久臣の背中の痣以外は終了です。
                            
                            SSは…4月2週目以降にどうにか続きを書きたいです。

                            この場で重ねて。
                            貴也に関わってくださった皆様、貴也に代わり心より感謝申し上げます。
                            (※絵師様、MS様、結社団長様などなど
                            本当にありがとうございました。









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