嘉凪:やっとお返事一個完了ー。

タイムアウトなんで、殴っていいよな?
って言うか、タイトル、思いっきり○ファリンだろ、それ。
嘉凪:にぎゃー!!死ぬ死ぬ!無理無理無理!
あ、わかった?元ネタは優しさやけど、あの苦さは優しさじゃな ― にぎゃー!!(暗転)
と言うワケで、えると君はもうちょい待ってちょ。欧州のお土産渡しに行くエピソードの予定。
今回はバレンタインの後日の久臣くんの話。相手方は名前出てないけど、多分分かる。
時を少しさかのぼる事 バレンタインの翌日、そしてフェンリル依頼に行く少し前の事。
台所でお茶請けのクッキーの用意をしていた綾乃の隣を、すっかり身長が追いついて、更には大きく差を付けた久臣が横を通り、ケトルでお湯を沸かし始めた。
「綾ねえ、コーヒーいるか?」
「ん? あー、もらう。 と言うか、私が淹れるからいいわよ」
3人分のマグカップを準備し、インスタントコーヒーその中に入れていく。
「3人分? 伊知にい来てるのか?」
「ううん、貴也の分。 ちょうど今調べ物の中間報告に来てくれてるから」
「ああ、あの件か。それじゃ、後で俺のトコに顔だしてくれって伝えてほしいんだけど。」
湯が沸いて笛を鳴らしたケトルを取り、マグカップにお湯を注いでいく。するとその隣に白い陶器の入れ物を持ってきた久臣の姿に、綾乃は首を傾げた。
「うん、構わないけど ………臣、どうしたの砂糖なんて取って」
そう、嘉凪家のキッチンで、白い陶器の入れ物は砂糖を示していた。中には岩塩の様なごつごつとした小指の先ほどの大きさの砂糖の塊が入れてあるのだ。
「え? 綾ねえ入れないのか?」
「ああ、入れてくれるんだ。ありがと。 それじゃあ私は2個。貴也は1個ね。」
「了解」
スプーンの上に砂糖を置き、濃い色の中に沈めて行く。…と、2個で終わると思っていたその作業が、3つ目のマグカップにまで移ったのだ。
白い塊がコーヒーの中に溶けて行く様を見て、綾乃はきょとんとしている。
「…臣、本当にどうしたの?」
「何がだよ」
「臣はコーヒー無糖派でしょ?もしくは入れてもミルクだけ」
「ああ、うん。今日はちょっと糖分足さないと単品は無理な物貰ったから」
「は? 何貰ったのよ」
「カカオ75%。 あ、しまった。煎餅も貰ったから、ミルクももらってく」
「なんで一緒に食べようとするのよ。別に食べなさい別に。相手に失礼でしょ、その食べ方。
…と言うか、カカオ75ってあげる方も臣の事考えに考えて悩んで贈ってくれたのねぇ。バレンタインの並々ならない努力にお姉ちゃん拍手する」
うんうんと贈り主のただならない努力に、綾乃は称賛を送った。ちなみに煎餅の贈り主は綾乃も知っている。と言うか、後日その煎餅と出自を同じくする兄弟煎餅を持って帰ってくるのは彼女だから。
と、そんな姉の様子を見て、久臣は苦笑しながら自分の分のマグカップを片手に台所を後にしようとする。
「ああ、それなら結社でチロルチョコとか用意したら喜ぶんじゃないか?」
「へー、それならそうし………って、ちょっと待った、久臣!」
久臣と綾乃が分かる、結社でチロルチョコが好きな人物なんて1人しかいない。
けれど姉の制止の言葉に「貴也に伝言よろしく」とそれだけを告げて、久臣はその場を後にした。
バレンタインに貰った品のお礼を。ちょいと別の人入ったけど、
そちらもまあ頂いたんでお礼っちゃお礼で。
恋愛感情…と言うか、自分に向けられる敵意には敏感なのに、
好意にはまったくもって鈍い嘉凪姉弟なのでいかんせんどうにもこうにも。
※綾乃はイッチーの気持ちに半年気がつかなかった猛者です。(笑
お礼は後のホワイトデーで。
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