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管理の合間に背後がのらりくらりしてる所です。
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2025/03/15 (Sat)
戦争の後から、ずっと久臣の心の中に蟠り続けているモノ

それは綾乃だって、彩華だってそうなのですが、如実に一番の問題として真っ向からぶつからねばならないのが久臣なので、彼の心を侵蝕しているモノです。







布槍で切り裂いたゴーストが、地面に倒れるのを感慨無い目で見下ろす。

ゴーストを切り伏せるのにも大分慣れてしまった。

最初に詠唱兵器を手にして、ゴーストタウンへ姉に連れて行ってもらった時は、
肉を断つ感覚に、胃の中の物を吐き出した記憶もある。
だと言うのに、慣れと言うモノは本当に怖いものだ。
今では嘔吐感を覚えることも無く、ただ静かに『其れ』を見下ろすだけ。

今では罪悪感を夢にすらみない。

初めてゴーストタウンに足を運び、ゴーストを切り伏せたその日、夢にまで見たのだ。

ゴーストの肉を断つ感覚を

全身に脂汗をかいて、飛び起きた。
手に血が着いているのはないかと言う感覚に、洗面所へ足を運んだ。

胃の中にあったものを全て吐き出し、胃液が焼いた食道が痛くて咳き込む。
かっこ悪いとか言う体面に拘っているつもりは無いのだが、
さすがに自分も多少は罪悪感を感じるほどには普通の精神の持ち主だったのかと嫌気を覚えた。

洗面台に手を着いて、鏡に映った自分の情けない顔に辟易した事も、そんなに古い記憶ではない。



だと言うのに

「……」

苛立ちに任せて、近くの壁に拳を突き立てる。
滅多に物に当たったりする性格ではないのだが、今回ばかりはこの苛立ちを、この迷いをどう発散していいかが分からずに、物理的な攻撃に変えるしか出来なかった。

聖杯戦争

先の戦争で、自分は途中離脱をせざるをえない重傷を負った。
それは自身の未熟さから来るものなので、甘んじて受けるしかないと思っていた。
だが ―

「感情を取るべきか、立場を取るべきか……そんなの、分かりきってるだろ」

立場を取るべきならば、巡礼士は見捨てるべきだった。
コマンダーの意見は統治者としては最もだっただろう。そして、自分の仲間にもそれに従った者もいる。
でなければ、前には進めないから。

でも、感情を取るべきならば巡礼士を見捨てないべきだ。
今回の戦の様に、皆の様に指示を無視してでもあの戦場に駆けるべきだったのだ。

今回は助けられた。 でも  それがもし、判断を下すべきが自分であったら、自分はどうした?

久臣は小さいとは言え、一族の主と、統治者と成るべき位置に居る。
決断を下し、そして一族を動かして守っていかなければならない。

百を守るために一を斬る事が正しいのか それとも百を犠牲にしても一を助けるべきか


自分はあの時、影である彩華に前者を指示した。
その事は間違っていないと今でも口にする事は出来る。

でも

ならば何故、こうして戦争が終って一月が経とうとしているのに、自分の中の蟠りは晴れないのだろう。


壁に立てた拳が痛いが   それ以上に心の方が痛くて仕方が無い。
この蟠りは、いつまで自分の心を蝕むのか



嗚呼、気でも狂ってしまえば、どれだけ楽になれるのだろうか

そんな事を考えて、足元に倒れたゴーストを見て、
久臣は唇を固く噛み締めて目を伏せると、身を翻してその部屋を後にした。

逃げる事は簡単だ。 だからこそ、真っ向から受け止めなければならない事だってある。
でも、だからこそ





自分は  まだ答えを得られないのだろうか。







 
                     聖杯戦争が終って、既に三週間以上が経とうとしています。
                     が、久臣の中では一つも決着が着いてないんですよね。
                     もちろん、それは儂(嘉凪)の中でもそうであって。

                     深く語ると何かを、誰かを傷つけてしまいですし、
                     言い訳になりそうなんで言いませんが、一つ。
                     
                     今回の結果は、その過程があってこその結果だと思ってます。
                     誰だって正しい事だけをして進んできたわけじゃないから。
                     だから、その過程を否定することだけは、せめて言わないで欲しい。
                     そう思いました。

                     だから、久臣の答えは  まだ出そうにないです…。


                     
                     ちなみに余談ですが、綾乃と彩華の答えは出てます。
                     出てますが、出ているからこそ、二人は敢えて久臣には何も言いません。
                     彼女たちの答えと、久臣の答えは別物ですしね。

                     答えが出ないのが弱い訳でも、答えが出てるから弱い訳でもないのでしょうが、
                     これが背負うべきモノが違う男女の違いなのかな、と。

                     

 

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2010/04/18 (Sun) 久臣 Trackback() Comment(0)
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