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管理の合間に背後がのらりくらりしてる所です。
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2018/10/19 (Fri)
最初に言っときますが、

1.これは前回の「葉禊」の続きの話です
2.この話に出てくる「嘉凪の一族」はあくまで嘉凪の脳内で作ったフィクション一族です。
  歴史とか民俗学、日本文学に詳しい人に言わせりゃ荒も多すぎて見れたもんじゃないと思います。
  なので、くれぐれもこの設定を参考にしないでくださいな。恥ずかしくて死ねます。

以上です。
今まで書いてなかった2を書いた理由。
や、本気で脳内補完もイイトコなんで、荒が多くなってきたと思われるから。
民俗学とか専攻してないから、んな詳しいこと分からんっす。ごめんね☆って事。

それを了解できる人は引き続き見ちゃってやってくださいなー。








神楽開始の時刻

五人の葵袴の男が拝殿から舞用の舞台へと現れた。
年齢は様々だが、その先陣を切るのは黒い面を付けていても分かる、一番年若い久臣だった。この外気が一桁しかないと言うのに、彼は白の小袖の上を脱ぎ、上半身は小袖の下に来ていた黒の腹掛のみ。けれど彼の姿からは寒さなどは感じられない。
鼓奏者の中でも長を務める者は一番猛々しい旋律を叩かねばならないので、一番体温が上昇する。その為の装いらしい。

その後に葵袴を纏った浩一と呼ばれる茂久の影である男と、緋袴を纏った彩華が横笛を持って現れる。
彼らが被っている面は鼻と目元を覆うもので、口元までは隠されていない。
けれど2人とも影と呼ぶにふさわしく、面を付けていない口元にすらも表情らしきものは見えなかった。
7人が付けている黒い面は個を無くす為ののっぺりとした面。奏者は7人で1人であり、個別であってはならないのだ。

7名の奏者が現れた時点で、境内は静まり返る。
普段はそこまで人がいない神社の境内だが、正月のこの時期だけは違った。境内には人々が集まり、綾乃や久臣を幼いころから知る地元の者達は元より、正月に参拝に来ていた者、観光客、 そして、綾乃や久臣の知人達もこの奉納舞を見に来ていた。

7人の奏者が配置に付く。舞台の入り口近くに笛奏者の二人が立ち、その外側に長胴和太鼓が置かれ、二人がそこに立つ。そのまた外側に桶胴太鼓を持った二人が立ち、中央に同じく桶胴太鼓を持った久臣が立った。

(……まったく、1年のブランクがあるって言うのに合わせなしとはやってくれるよな)

静かに視界に舞いの舞台を配置し、心の中で久臣が苦笑する。
そう、今回の奉納舞、いつもならば本番前に道場で音と舞を合わせての練習をするのだが、今回はそれがなかったのだ。時間が無かったのもあるのだが、綾乃自身が必要ないと口にしたからだ。

さすがに3年も踊った記憶を、たった1年で奪う事は出来なかったのだろう。
実は綾乃は嘉凪の中で最高と言われるほどの舞手。祖父の茂久も彼女が現れるまではそう言われていたのだが、若干15歳の孫がその名を奪ったのだ。

確かに彼女の舞は一族の中でも秀でている。ここ1年の舞を任されている久臣ですら、その域に達する事は出来ていない。と言うのも、祖父の茂久曰く、「寄せである舞は綾乃が、祓いである音は久臣の方が優れている」との事だ。
巫覡としては両方が備わって一流。そしてその両方が備わっているのが、祖父である茂久。嘉凪最高の当主と言われるのは伊達ではないと言う事だ。

閑話休題。

話を元に戻し、今回合わせ無しでのぶっつけ本番なので不安を感じている……かと思えば、実は久臣も不安を感じたりなどはしていない。
太鼓の撥を握った瞬間に、楽面は全て思い出している。こちとら伊達に人生の半分もの間太鼓に接してきたわけではないと言う事だ。

舞自体は問題ないだろう。久臣もそう思う。

(問題は ―)

面の奥から赤銅の瞳が一瞬だけ肩越しに拝殿を見る。
そこには今、久臣が前奏を始めるのを待っているのであろう、姉の姿があるはず。そしてその隣には今回の奉納守を務める義理兄が舞で使用する真剣の柄を握っている事だろう。

何も2人が一族の墓に眠る祖先達のゴーストに負ける等と心配をしている訳ではない。
そうではないのだが、何とも言えない嫌な感じが体に纏わりつくのだ。

(穢れが多いな)

12月の奉納舞で祓った割りに、今年の元旦の奉納舞は穢れが多い。人が多いから仕方がないのだが、祓いの特性を持つはずの自分ですら疎ましく思うほどに感じるのだ。
寄せの特性を持つ綾乃はさぞかし気分が悪いことだろう。
これは早急に初めて、祭器に穢れを吸わせないとと覚悟を決めると、久臣は太鼓を持ち直し、撥を天へと掲げた。



高く澄んだ太鼓の律動が力強く大地を揺らす様に響く。久臣の叩く太鼓の音は歪みなく朝の境内に響き渡り、寒さや眠気を聞く者から奪い去る。それ程に雄々しくも猛々しい、力強い音色。
まさに信の強い久臣の気質を表すかのような音色に合わせ、他の鼓奏者がリズムを合わせ始める。

境内を震わす太鼓の音。

猛々しい程のその音色は、心臓の鼓動の様に心地よいものさえ感じさせる。

その音楽を舞台に続く廊下が設置されている拝殿の襖の前で聞いていた綾乃は、静かに息を吸う。
太鼓の音に合わせて鼓動が高鳴る。全身が高ぶって、心が震える。舞を思い出そうと、体中が震える気がした。

「綾乃、準備はいいか?」

ふとかけられた声に面を付けたまま、綾乃が視線を声の主に向ける。
そこには祖父である茂久と伴侶となる婚約者であり、今回の奉納守である伊知郎の姿。

その二人の大切な人の姿を認めて、綾乃は静かに首を縦に振った。

今、自分は竜に身を預ける者なので、器の嘉凪綾乃としての声は出せない。
けれど彼女の言いたい言葉を察してくれたらしく、2人も静かに頷く。
それを見届け、拝殿と舞台を仕切っていた襖が静かに開け放たれた。



                   取り急ぎここまで。と言うのも…長くなりそうな気がビシビシしてきた。
                   今4話目か…何話になるんだろ、これ。(汗)
                   
                   ちなみに現在、お客様は8…9人?お迎えしとりまっす。
                   全員描写しますからね!(いい笑顔)……多分、次の次くらいには。
                   

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