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管理の合間に背後がのらりくらりしてる所です。
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2024/04/16 (Tue)
嘉凪:前のアプして2週間が経とうとしてるのは気のせいや。

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気のせいでも幻想でもないよねー?
何してたのか言ってご覧なさい?

嘉凪:笑顔がチョーこえー。

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当然でしょ?先週末は仕方なかったと思うけど…
何で今回2話のうち1話だけなの、アップ。

嘉凪:…その次の「澄律」ばっかり先が進んでねぇ…。えーっと、ごめん?

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ごめんはいいから先書きなさい。


嘉凪:はひ…。



               と言うワケで、今回も前後編だよ!次回は多分一週間後!たぶん!








 拝殿から出て山に入った瞬間に、2人はすぐにイグニッションして先を急ぐ。獣道と間違うほどの草木が生い茂った道なのだが、起動している2人にはそんな物は障害にもならなかった。

綾乃の道案内でやってきたのは、獣道からも反れた目印も無い様な小さな石碑が建てられた場所だった。
周囲を囲う草の背が高いので、ここに石碑があると知らなければ気が着かないだろう。

「ここか。水源から近いのだな」

 伊知郎が口にするのも当然だった。ここは水源より僅かに下、丁度伊知郎ほどの背の高い者が石碑の近くに立てば、水源の印である石碑と水源が100mもないくらい先に立っているのが見えるのだ。その言葉を聞きながら、綾乃が石碑の前にしゃがみ、石碑の影にあった何かを操作すると石碑が重たい音を立てて横にずれる。
そこには明らかに人工的に整えられた階段が出現した。

「まあ、竜神の衛士だもの。黄泉路は魂魄の帰依。何処よりも竜神に近い場所を更に近くに ― って事みたいよ」

 階段を下りながら、苦々しく呟く。
その考えが嫌いな訳ではない。厭わしい訳ではない。竜神に慕わしい者を護ると言う竜神信仰は綾乃も嫌いではないし、むしろ賛同できる。だが、問題はその信仰を掃き違えて解釈してしまっている一族の考えだ。一族以外の人間 ― 特に能力者や来訪者など彼らの理解を超えている者 ― を彼らはどうしても親しめないようなのだ。それは自分達の未知なる者を受け入れるのには勇気と理解が必要なのは分かるが、彼らはそれすらもしようとしない。それが綾乃には好きになれない。

 入り口に置いてあった灯篭に火を入れると、一族の先達が巧妙な技術で用意した炎が洞穴内を薄明るく照らす。入り口の炎が奥まで走り、洞穴内の箇所箇所にある灯篭に火が入って明るくなるらしい。その辺りのからくりを綾乃は理解していないのだが、弟や元の自分の影だった人物がその原理を理解しているらしいので今のところ壊れても彼らが修理してくれるので問題ない。
他愛のない事に思考を走らせてみたのだが、胸の内は少しも軽くならなかった。

 なぜ、来訪者が排斥されなければいけないのか。彼らにしてみれば此方は異邦者に違いないと言うのに。

そればかりが頭に重たい感情を渦巻かせる。胃の中にまるで訛りでもある様に、気分と体が重い。
実は去年の内に、今回の事、そしてその先にある目論見を綾乃は現在一族で1・2の権限を持つ当主である祖父茂久と、弟である久臣に話をしていてある程度方針も決まっているのだが、それでも腹の内の感情は収まる事は無い。いや、この感情の起伏は ―

「成程、死すれば人も肉体を失い御霊と化す、か」
「……ええ。私達の先祖であり、当主と一度でも呼ばれた者は全て生前の功績を称えて竜神の膝元に眠る。…それが見えない狂気に触れて、次代に排除された者でもね」
「それがゴーストと成った者か。厄介だな」

 後ろを着いて来る存在の声に、慌てて頭の中の暗い感情を掻き消す。
いけない。今の自分の中には穢れが溜まっている所為で、負の感情が呼び起こされやすいのを完全に失念していた。先程から腹に頭に渦巻くよくない感情。確かにその根底は自分の不満があるだろうが、ここまで大きくなるものではなかった。
それは今の自分に溜まっている穢れが感情を大きくしているのが原因。そんな一時的な感情に流されては、自分が普段微塵も思っていない様な事まで口にしてしまいかねない。

この嫌な感情を抱えたまま、戦闘に突入しては彼の足を引っ張りかねない。現に……綾乃が兄と慕った人を失ったあの日、自分はこの負の感情に飲まれて満足に戦えなかったのだ。

また繰り返すのか。 いや、繰り返すことは出来ない。
自分の中に蘇った、狂いそうな程に苦しい記憶の欠片の中に映る人が、今の自分の後ろにいてくれる人と重なった気がして、綾乃は焦って後ろを振り返って伊知郎を見上げた。

「― ねぇ、伊知郎」
「なんだ?」
「好きよ。大好き」

 口に出せば、その感情だけが自分を満たす。すると自然と体中を支配していた醜い感情は成りを潜めてくれた。その事に綾乃は目の前の存在に心から感謝と愛情を感じずにはいられない。自分に綺麗な感情を満たしてくれる人。家族、友人、結社の皆もそうなのだが、その中でも一番自分に色んなものをくれる人。その存在が愛しくて泣きそうにすらなる。

自分は微笑んだつもりだったのだが、自然と表情は泣き笑いに近い表情になっていたらしい。綾乃の表情を見た伊知郎は、少し表情を和らげて綾乃に触れようとして ― ふとその手を下ろして悔しそうに目を閉じて息を吐いた。

「……触れられないのが腹立たしいな」

 そう、今の綾乃は奉納舞の所為で体中に穢れを溜めている状態なので安易に触れてはいけないと、伊知郎も綾乃も散々当主の茂久に釘を刺されていたのだ。生真面目な伊知郎の事だ。その事を、寧ろその時の茂久の手厳しい様子を思い出したのだろう、眉間に深い皺が寄せられている。

彼のそんな様子を見て、綾乃は触れられないのが分かっていたので少しイタズラっぽく至極楽しそうに笑った。

「ふふふー。こういう時くらい優位に立たせてもらいましょうか」

 にまにまと楽しそうに笑いつつも、綾乃は先に進む。普段は伊知郎が優位に立つ事が多いので、こんな時でなければ綾乃が勝てる事態など滅多にない。悔しそうな伊知郎に心の片隅でごめんねと謝りながらも、滅多にない事なので楽しいのは仕方ない。
楽しげに笑いながらも進む綾乃の後姿を見ながら、彼女に見えない位置で伊知郎は一つ微笑んだ。が、直ぐに彼もまた楽しげに口元に笑みを浮かべる。

「確か、奉納を終えたら禊ぎだったな。」
「そうだけど……………ちょ、何する気!?」
「さて、何だろうな?」

 しれっと問題発言する伊知郎に、綾乃は慌てて振り返るが彼はニコリと微笑むだけ。綾乃に関してはこう言う事を何気なしに言ってしまうので、その笑顔に弱い綾乃は彼に滅多に勝てないのだ。まあ、相手の方が自分よりも(恋愛ではない)こう言う事に関しては経験が多い…らしいので、仕方ないのかもしれないが、今回も例外ではなかったらしい。

「ちょっとお兄さん、落ち着いて話せば分か -」

 ワタワタと慌てる綾乃がどう説得したものかと頭を悩ませようとした瞬間、2人とも咄嗟に武器を構えてその場から飛びのく。数秒遅れて先程まで2人がいた場所には無数の苦無が降り注いでいた。

けれどその苦無がゆらりと勝手に地面から抜け、ある箇所へと飛んでいく。その先には ―

「早速だな」

 2人の人物、いや地縛霊が立っていた。少し背の高い男性と、その後ろに控える影の様な暗い人影、……嘉凪の狂気に囚われた当主とその影の地縛霊だ。

彼らの瞳に狂気が宿っているのを認め、綾乃は一瞬にして纏う空気を変えて皮肉気に嗤う。

「さすがご先祖様。伊知郎、熱烈歓迎されてるわね」
「それは光栄だな。綾乃、戦えるか?」

 長剣を構えて綾乃の前に立った伊知郎の背中に、榊を持ち直した綾乃が口元に笑みを浮かべる。

「大丈夫よ。後ろは任せて ― 祖霊よ」

 綾乃の言葉と同時に、伊知郎の体に祖霊が降りる。低く体勢を構えなおし、狼の闘志によって自己を強化した伊知郎が同時に駆け出す。
その後姿を見送りながらも、強がりの笑みを浮かべていた綾乃の唇は強く噛み締められていた。



             ふふふ、中途半端ー。
             と言うワケで、次回は戦いからとか言いたいトコなんすけど、戦闘入れたら儂死ぬ。
             確実に3話いくね。
             と言うワケで戦闘は割愛で、退けた後からの再開になります。
             あー、次は今回以上にイッチーと綾乃がバカッポーなのでお気をつけくださいませませ。




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